2001年2月20日

府立学校の在り方懇話会 障害児部会中間まとめに対する見解

                         京都府立高等学校教職員組合障害児教育部
1,はじめに

 府高は数年前から21世紀プラン運動に取り組み、今後の障害児教育の在り方を検討すると共に父母と一緒にスクールバスの増車や教職員定数増など教育条件の改善に取り組んできた。今回の在り方懇話会発足に際しても懇話会への参加を求めつつ、より正確な実態や要求を踏まえた論議が展開されるよう、在り方懇話会委員の方に「21世紀の新しい障害児教育の発展のために」と題した府高障教部作成のパンフや「21・京都障害児教育改革プラン提言1 養護学校の改革」(21・京都障害児教育改革プラン・提言運動委員会)をお送りしてきた。この間ホームページ等で紹介された論議の内容を見ると、各委員の方から切実な要求やきびしい実態が出されており、国や京都府における障害児教育の不十分さが反映されていることがうかがえる。府教委と在り方懇話会に求められているのは、経済効率にもとづく教育リストラの対象として障害児教育の在り方を語ろうとする流れに対し、どんなに重い障害のある子どもにも教育を権利として保障してきた京都における障害児教育の到達点と課題を見据え、今後の在り方を語ることである。そしてこの間、舞鶴市や宇治市、八幡市などの議会で養護学校設置を求める請願やPTAからの要望書が出されていること等も踏まえ、21世紀における京都の障害児教育がどう在るべきかの方向性を示すことではないだろうか。

2,養護学校の果たす役割について

 今回の中間まとめでは養護学校の果たす役割について「学校と地域社会との交流の促進」「児童生徒の居住地域での交流の促進」「障害児教育のセンターとしての機能の充実」の3点について提案されている。ノーマライゼーションの理念と養護学校過密の現状からしても養護学校が地域に密着し、児童生徒が地域での交流を深めていくのは大切なことである。しかし、どのような形で交流を深めていくのかという点については、生徒や地域の実態によっても異なるので一律に規定するのは好ましくない。現場の教職員が教育活動の一環として集団的に論議して決定していくことが必要である。
 また、障害児教育のセンターとしての在り方については、障害児学校が持つ機能の2部門制=「障害児教育の専門的教育機能」と「地域の障害児教育センター機能」という考えをハッキリさせておくことが必要である。中間まとめでは地域の障害児教育センターとしての機能に重点が置かれているため、養護学校の専門的機能を高めることには言及されていない。しかし、養護学校の児童生徒の障害は重度・重複・多様化しており、理学療法士や作業療法士の配置などが求められている。私たちの提言でも述べているように専門的機能を高める施策への提言が求められる所である。そして、地域のセンターとしての役割を果たそうとすれば、当然人的な配置が求められるのであり、そのための条件整備についても触れる必要がある。さらに、地域の障害児学級や普通学級に在籍する障害児に対して養護学校がどうかかわるのかという点については、学籍問題がからんでくる。この点について中間まとめでは触れていないが、障害児校と一般校の二重学籍を保障するということも視野に入れて検討していく必要があるのではないだろうか。また、309号通達が失効したもとで市町村教育委員会における就学指導の役割が大きくなることが予想される中で、就学指導の在り方についても早急な検討が必要であろう。

3,養護学校の配置のあり方は保護者や教職員の声を聞き、小規模・分散化を前提に、学校新設を明確にした校区縮小・再編を提起すべき
   
 府立学校の配置の現状について、中間まとめでは「各地域や学校毎に目を向けると、学校の立地条件による制約の課題や、交通事情等の社会状況の変化に十分対応しきれていない面、また、通学区域が広域にわたることから、児童生徒の指導や援助に関わって、市町村との連携がとりにくい点もうかがえる」と表明している。この認識は現状を一定反映したものであるが、長時間通学が子どもや保護者に大きな負担になっていること、過密問題が教育条件や労働条件を著しく困難なものにしているという具体的で切実な状況については触れられておらず、懇話会としてこの問題に対する現状認識を明らかにするべきではないだろうか。
 この間、地方議会で養護学校新設の請願について討議されてきているが、その中で一番問題になっているのは通学に関する子どもと保護者の負担が大きすぎるということである。中間まとめでは「養護学校は地域に開かれた学校としての役割を高め」「養護学校に在籍する児童生徒と地域社会との結びつきを強めていく取組を進めていくことが求められている」とし、「現在の養護学校の通学区域は・・・基本的には昭和59年の中丹養護学校開設の開校をもって設定されたものであり、以来15年が経過する中で、地域社会に密着した機能・役割等に十分対応しきれていない面もうかがえる」としている。15年間養護学校の建設や改築など条件整備を怠ってきた責任は紛れもなく教育委員会にあるが、上記の現状認識から当然導き出される方向は、養護学校の新設による校区の縮小再編ではないだろうか。しかし、中間まとめの結論は「現在の通学区域が縮小されるよう、次の関連意見も参考に養護学校の配置を見直し、再編整備を図る必要がある」とし「ノーマライゼーションの推進の観点から、小・中・高等学校に併設することが望ましいが、児童生徒の状況や既設校との関連等、地域により状況は異なることから、その方法については地域毎に検討していくべきである」というものである。何故、養護学校の新設という言葉が出てこないのか、「配置の見直し」「再編整備」では不十分と言わざるをえない。
 毎日往復3時間あまりかけて通学している子どもやその保護者、雨が降るとバス停まで行けず学校を欠席しなければならないため、毎日天気予報を食い入るようにして見入る子どもとその保護者等、多くの子ども、保護者、教職員、府民の本当に切実な要求に懇話会のまとめが十分応えるものになっていないことは大変残念である。また、「はじめに」でも述べたが、いくつかの地方議会で養護学校新設の請願が論議されている。その中で「新設の要求にどう応えるか」という問いに対して、行政当局の答弁は「府のほうで懇話会を設置して論議していただいている途中であり、その結果を重視してまいりたい」というものばかりである。今回の中間まとめのような不十分な方向性では地方議会も困惑するのではないだろうか。
 さらに、今後の養護学校新設、校区再編にあたっては、行政の一方的な判断ではなく保護者や現場教職員の声を反映させる場を持つことが極めて重要であり、そのための提案もなされるべきである。中間まとめ発表以後、どこそこに養護学校ができるという「うわさ」が飛び交っており、保護者、教職員の不安をあおっている今、早急に検討の場を作るべきである。

4,今後の検討課題について

 今後の検討課題として、上記で指摘した事項(養護学校の専門性を高める手だて、就学指導の在り方、学籍問題など)の他に、盲・聾学校(教育)の在り方、寄宿舎の重要性、教職員の健康問題等についても検討が必要と考える。いずれにしても、拙速な結論を出さず、保護者や現場の声、府民の声にじっくり耳を傾ける姿勢を大切にするよう要望したい。