学校職員部

すべての学校図書館に専門・専任・正規の教職員を!

☆「司書教諭」の発令は朗報?

1997 年『学校図書館法』が「改正」され、2003 年までに 12 学級以上の学級に「司書教諭」が発令されねばならないことになりました。このことはマスコミでも「学校図書館に人が置かれるようになった」朗報として報道され、各都道府県では「司書教諭」有資格者の養成が急ピッチで進められています。京都府立学校の「教職員異動調査書」に今年度から「司書教諭」資格の有無を書く欄ができるなど、有資格者の調査も行われています。
このような「司書教諭」の発令は、学校図書館法の発展にとって本当に朗報なのでしょうか?次のような誤解をしていらっしゃる人が多いのではありませんか?

新たに各学校に「司書教諭」が配置される(定数1増)
現在の図書館係の興趣が「司書教諭」になり、図書館の専任となる
(あるいは授業時数が軽減される、小・中学校の場合は担任から離れられる等)
小・中学校にも専任・専門の学校図書館司書が置かれる
現在の学校図書館司書が「司書教諭」になる

☆上記1~4はすべて間違いです。

『学校図書館法』では、「司書教諭」は「教諭を持って充てる」とされています。つまり現任の教諭の中から「司書教諭」の有資格者を、あるいは今後の講習によって単位取得した人を「司書教諭」として発令するものです。決して新たに専門職を設けるものではないのです。いわゆる“充て職”にすぎません。その上、2003 年までに各校2名ずつの有資格者を揃えなければならないとされていることから、“拙速”としか表現できないような養成の仕方が実態として行われており、残念なことに学校図書館の専門職としての知識・技能の修得がおぼつかない講習もあるようです。
「司書教諭」としての教育実践に夢を抱いておられる先生方もいらっしゃることでしょう。しかし、「司書教諭」として発令された教諭に、授業時数軽減等の制度的保障はありません。小・中学校の場合はこれまでどおり、授業を持ち、担任を持ち、部活動指導をしながら学校図書館を運営することになります。現在、専任・専門の学校図書館司書がいる高校の場合は、司書教諭が発令されることによって却って、学校図書館司書が配置されなくなってしまう(異動後不補充等で不在になる)危険性もあります。事実、過去にそういう経過をたどった自治体、現在専任の学校司書をリストラしようとしている自治体もあります。逆に、教諭が「司書教諭」の資格を持っているばかりに、希望の校務分掌につけない可能性、不本意な人事に遭う可能性も否定できません。また、「司書教諭」発令が新たな職階になるおそれも含んでいます。

☆司書教諭の仕事とは?

たとえば、文部省法規研究会は<司書教諭の職務の例>として下記のようにまとめています。

A 指導的・奉仕的職務

(ア)学校図書館・資料の利用指導;(イ)児童生徒・教師へのレファレンス;(ウ)児童生徒に応じた読書指導;(エ)教師への教材準備の協力;(オ)図書館内の利用態度の指導;(カ)生徒会図書委員の指導;(キ)読書会等の行事の指導

B 管理的職務

(ア)図書館運営計画の立案実施;(イ)組織案の作成と管理;(ウ)予算案の編成と支出の調整;(エ)施設備品の整備;(オ)校長への連絡協力;(カ)校内諸組織との連絡協力;(キ)公立図書館との連絡協力;(ク)学校図書館の評価と改善

C 技術的職務

(ア)図書資料の選択と構成;(イ)分類の決定;(ウ)目録の作成;(エ)新聞雑誌記事検索の作成;(オ)特殊資料の作成;(カ)資料内容の研究と紹介;(キ)視聴覚教材の管理操作

実際にはこれらに加えて、毎日の会館に伴う様々な業務・児童生徒への対応、新着図書の受け入れに伴う細かな作業、授業や課題学習での図書館利用への対応等をも日々行うわけですから、本来、職務の量の上からも、質の上からも専任でなければつとまりません。さらに、「司書教諭」を“心の教育”担当者、メディアリテラシーのための指導者として活用しようという動きさえあります。学校図書館の担当者として、十分な実践を繰り広げられる余裕がどこにあるのでしょうか?そればかりか、現行法上では兼務の充て職「司書教諭」でさえ 11 学級以下の学校には配置されません。これは京都府内の公立小学校の 49 %、公立中学校の 45 %にあたります(`98 年度)。
また、文部省は「『司書教諭』の授業軽減は現場の努力で」と言っていますが、年々多忙さを増す学校の現状として、図書館担当の教諭のみに新たな授業時数軽減枠を求めることは困難でしょう。制度的な保障がない以上、継続的に授業が軽減されることは期待できません。京都府の小学校の場合は、『音楽や体育の専科教員の配置が先だ』という声もあるでしょう。

☆学校図書館には、専任・専門の教職員が必要です!

「司書教諭」の職に充てられても、教諭はあくまで授業が本務です。どんなに熱意があったとしても、図書館業務に専念して、学級担任や教科担任の仕事から全く離れてしまうとうわけにはいきません。学校図書館の仕事は多岐に亘り、兼務の充て職「司書教諭」がすべて把握し、実行していくことは不可能です。学校図書館の専門的業務を掌るのはやはり、専任(=学校図書館の業務に専念できる)・正規の専門職員(=専門の資格・知識を問われる試験によって採用された、定年まで継続して学校図書館でその専門的知識・技術を発揮し、展開・発展させることのできる正職員)がふさわしいと考えます。

私たちの願いと運動

私たち府立高教組学識部司書委員会は、府高本部・日高教・全教とともに『専任司書教諭制度』の実現を目指して運動を進めています。充て職や兼務でない、学校図書館の仕事に打ち込める『専任司書教諭』、ちょうど養護教諭に似た存在と言えばわかってもらいやすいでしょうか。もちろん、校種・学校規模を問わず、すべての学校への配置を求めます。
さらに、『専任司書教諭』には現在学校図書館で働いている職員が完全移行できなければならないと考えます。これは現職者の職の保障ばかりでなく、これまで培ってきた専門的技能・知識・理解の継承・発展と言う意味でも必要な措置なのです。
『専任司書教諭』制度を実現するには国レベルでいくつもの法改正が必要です。当面、京都府独自の措置として現在の学校図書館司書の教育職2級格付け、小・中・高・障害児学校、すべての学校への配置を求めていきます。
また、全国でも最低レベルの京都府の学校図書館予算は、すぐにも大幅な改善が必要です。職員の制度改革と平行して強く要求していきます。
すべての子どもたちの豊かで楽しい読書体験、実りある調べ学習のために、学校図書館の発展のために、引き続きみなさんの御協力・御支援をどうぞよろしくお願いいたします。

※専任の学校図書館司書が日々どんな仕事・実践をしているか、学校で働くすべてのみなさんにご理解いただきたいと思います。ぜひ『学校図書館司書ってな~に?!』(府高司書委員会編)をご購読ください。頒価500円。お問い合わせは府高本部(Tel 751-1645)まで。

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