学校職員部

理科教育の発展と「実習助手」問題の解決のために(最終答申)

1998年10月1日

理科教育と「実習助手」問題検討委員会

[1]「中間答申(1996・7)」以降の検討の経過と本答申の位置付け

(1)検討委員会が1996年7月に提出した「中間答申」は、実験・実習の現状や「実習助手」制度の問題点を明らかにし、理科教育の充実・発展の観点から、「実習助手」制度を廃止しての教諭への一元化、実験・実習の教諭による複数指導などを柱とする、改革の方向性を提起しました。
[ 次頁の資料「中間答申」を参照 ]

その後検討委員会は、具体的内容の検討を進める一方、学習交流集会(2回)、各校での論議の呼びかけとアンケート活動(96年12月実施)、「Q&A」の発行(97年4月)、教諭と実習教員への聞き取り調査など、中間答申の内容を広め、各校での論議を促進し、答申内容への意見を集約する取り組みを進めてきました。

一方、府高学職部・実習教員委員会は、制度改革を展望しつつも、当面する要求として、待遇改善と職名変更を求める要求署名運動を進めています。

(2)中間答申の内容に対する賛否や意見を求める「アンケート」(回答数121名=理科教諭92名、実習教員29名)の結果からいくつかの項目を抜粋します。

「実習助手」制度をなくし教諭に一元化することには、グラフ3のように、とりわけ教諭で意見が大きく分かれました。ただし、記述回答では、「賛成の立場だが現職の実習教員の方の希望や要求について配慮したい」との意見が目立ちました。また、実習教員では、「現在のような制度が今後も続くのはよくないので一元化には賛成だが、自分自身が教諭になっていくことには不安が大きい」というのが、多数の意見と読み取れました。

このアンケート結果を通じて、教諭一元化と実験・実習の複数指導に対して、回答者の中の次のような問題意識が明らかになったと考えられます。

①教諭一元化への態度を問わず、「現職の『実習助手』(=以下、『現職者』と記します。)の 意向や要求」について関心を向けていること。
②「反対」や「決めかねる」人の中に、「教育観の違う相手とはやりにくい」「自分の思うよう に展開したい」という意見が多いこと。
③実験・実習を能率よく効果的に進めるためには、何らかの形での「分業」は必要であると考え ている人が、一元化への賛否を問わず、かなりあること。
検討委員会では、これらの意見を踏まえて、最終答申の検討をすすめました。

(3)「中間答申」の内容について、全体としては肯定的・積極的に受けとめる意見が相対的に多いものの、中間答申発表後の取り組みの中で、上記のように教諭・実習教員のそれぞれに、さまざまな意見や要望があることがつかめてきました。検討委員会は、検討をすすめる一方で、これらに対し「Q&A」の形で考え方を明らかにしてきました。その内容の概略は次の通りです。

①現在の制度のまま待遇改善や職務内容の明確化をめざせばという意見に対して。
現在の制度の矛盾や困難には法的な土台・根拠があり、ここを改めないと根本的な解決ができない。
②職業科での教諭への任用替えと同じようにすればよいという意見に対して。
そのためには、制度上「理科実験」を科目として独立させることが必要だが、理科実験の位置付けから考えて「講義」の授業と切り離すのは理科教育にとってよくないし、制度の矛盾の 根本的な解決にもならない。
③短大出身の私に教諭と同じことができるとは思えないという意見に対して。
免許取得のための学習を進める中で自信と力量をつける一方、現職者の希望によっては、過渡的に「実験・実習だけを担当する理科教諭」として運用したり、分掌配置で配慮をするなど、 一元化の経過を踏まえた校内の合意をすすめていくことが大切。
④一元化で教職員定数が減らされたり、理科だけ持ち時間数が減って校内合意がはかれないのではという意見に対して。
中間答申の提起では、クラス・講座の実験・実習の時間に加わる人は、単位数の0.5倍を持ち時間として時間割に組み込むので、おおむね現在の教諭+実習教員以上の定数は確保され るし、1人の持ち時間数は他の教科と変わらない。
⑤教育観や指導の観点の違いのため、実際には実験・実習がやりにくくなるのではないか、また、自分の教育観に他の人が踏み込んでほしくないという意見に対して。
実験・実習の観点や方法の違いは、むしろお互いの研修や授業改善にとってプラスに作用させ得ると考えられる。また、クラス・講座の授業を担当する教諭に実験・実習の時だけ他の教 諭が加わる形なので、主・副の関係での複数指導が、当面は一般的な形態になると考えられる。実際の運用形態についてはさらに検討を加えていくが、実現した際には、各校での実情に応じ た運用の工夫が大切になる。

(4)一部の学校では、理科教諭の平均持ち時間数が減少している有利な条件を生かし、実験・実習の教諭による複数指導の試行に取り組み始めています。

この最終答申は、中間答申を踏まえ、出されている意見や要望・問題点について検討し、さらに中間答申の内容であいまいな点、引き続き検討すべきとして残されていた点を補足・整理したものとして、提出するものです。

[2]複数指導の意義と、実際の運用・具体的展開例

(1)教諭による実験・実習の複数指導の積極的意義について

中間答申では、理科教育の充実・発展のための改善の一つの方法として、教諭による実験・実習の複数指導を提起しました。
これに対して、「チームワークが必要なので、組織的に計画が行なえるよう、時間的・物質的なゆとりが必要。」「複数の教諭で実験・実習をする場合、個性が失われ、どこでも同じことばかりやっている状況がでてこないように考える必要がある。」「教育観や生徒指導の観点の違う教諭どうしが、同時に実験を受け持つのは困難である。」などの問題点が指摘されました。
教諭による複数指導に反対・保留する意見に、教育観の違いの問題があります。しかし、教育観の違いは、複数指導の大きなネックになるのでしようか。
まず、実際の職場の実態から見ると、科目によって差があるものの、同一科目での実験が教諭ごとに大きく異なっているということは、少ないといえます。学校によっては、事前の打ち合わせにより共通の実験をベースにやっています。したがって、現状から見ても、お互いの教育観を尊重しながら、実験内容や指導方法また評価の観点を調整して実施することは可能です。次に、現実の複数指導の経験から言えば、教育観の違いは大きな障害とはならず、むしろ違いがあるからこそ、実践を通じて「生徒たちにとって楽しくより本質的な実験にするにはどうしたらよいのか」、「実験を安全でスムーズに行うには、どんな工夫があるのか」、「評価はどうしたらよいのか」などについて互いに深めることができています。
教育をとりまくさまざまな困難な状況がある中で、自然科学の基礎・基本をすべての国民のものにするためには、各自の授業を交流し、教育内容や方法について共通理解をつくりだす必要があります。共通理解できたことを踏まえた個性的な授業が求められます。教育観の違いを困難点ととらえて複数指導を避けるのではなく、それを積極的に活用する方向に理科教育発展の展望があります。
さらに、もし複数指導において「実習助手」とならよくて、教諭同士はだめだとすれば、それは「実習助手」制度の矛盾・問題の一つの現れです。
教諭による実験・実習の複数指導の積極的意義を整理すると、次のようになります。

①お互いの実験指導の良い面が学びあえ、指導技術の向上につながる。
②実験内容について、お互いに率直な意見や経験を交流することで、細かな改善点を含め、より 優れた教材や内容の開発が追究できる。また、実験・実習が学校の財産として蓄積できる。
③最近の生徒の状況から安全性などの点で困難と判断していた実験が、複数で取り組むことで可能になる。
④生徒の疑問や質問にも即答できるなど、きめ細かい指導ができる。
⑤教諭と「実習助手」との複数指導体制では、生徒が「実習助手」を補佐的な人として受けとめ、指導が入りにくいという困難点を解消できる。

(2)教諭による実験・実習の複数指導を行うために

①教諭による実験・実習の複数指導の実際について
前項で複数指導の積極的意義について述べましたが、2人の教諭がlつの教室に入り対等平等の関係で指導する場合、役割分担をはっきりさせておく必要があります。実際には、具体的展開例に示してある通り、講座担当者が実験・実習の指導を含め、その講座の指導に責任を持ち、複数指導担当者は実験・実習の指導を援助するという役割を果たすことになります。その一つの例として、講座担当者がメイン指導(実験の説明+実験指導)にあたり、複数指導担当者はサブ指導(実験指導)にあたる方法が考えられます。このとき、共通理解できたことを踏まえて講座担当者が講座の授業計画を決定できる自由な雰囲気をなくさないように注意する必要があります。
②実験・実習をスムーズに進める分業について
教諭一元化に対して賛成の立場の人からも、反対の立場の人からも共通して「分業の必要性」が多く指摘されました。充分な時間が保障された条件下で、効率にとらわれず、試行錯誤をしながら実験・実習ができるのに越したことはありません。しかし実際問題として、限られた時間で準備・後片付けをスムーズに行ない、実験・実習を効率的に実施するためには、分業をするのも一つの方法です。
具体的展開例では、中間答申で提案した「差をつけない方法」に加えて、「実験室担当者」や「実験・実習担当者」を決めるなど、教諭が役割分担をすることで実験・実習をスムーズに実施する方法の例を示しました。「差をつけない方法」が現制度の問題点を根本的に解決する理想的な方法ですが、実験室管理や実験・実習の効率的運用には、経験の蓄積と十分な時間的保障が必要です。「実験室担当者」や「実験・実習担当者」を決めるときには、本人の希望がない限り、毎年同じ人に固定されないように注意する必要があります。また、いずれの方法をとるにせよ、実験・実習の時間が時間割に明記されますので、今よりは計画性が要求されることになります。もちろん、時間割に明記された実験・実習時間以外の時間に教育上必要とする場合は、講座担当者と複数指導担当者の協力と納得の下で、実験・実習を実施することも可能です。
③単位数を1.5倍して理科教諭の定数を決める根拠と小規模校への配慮について
実験・実習を行なうためには講義をする場合と比較して、予備実験・準備と後片付け・複数指導・備品薬品の管理等の仕事が余分に必要です。これを時間に換算すると、実験・実習の時間数の2倍程度になります。年間授業時数の25%程度の実験・実習を行なうとして、以上のことを根拠に実験・実習を行なうために必要な時間を算出すると、単位数の1/2程度になります。したがって、理科の単位数を1.5倍して算出した総時間数を基にして理科教諭の定数を決定することになりますが、この方法で決めた理科教諭の定数が1名になる小規模校には2名の理科教諭の配置を求めます。

(3)理科教諭による実験・実習の複数指導の具体的展開例

上記の方法で算出した理科教諭の定数で展開できる具体的展開例として考えられるものを示します。学校によって教育課程や講座数が異なりますので、具体的展開例を参考にして、それぞれの学校に合った実験・実習の複数指導の方法を研究し、実践することが必要です。中間答申の具体的展開例の「担当クラス」、「実験クラス」という表現に対して、講義を担当する教諭と実験・実習を担当する教諭が異なっているという誤解が多くありましたので、それぞれ「担当講座」、「複数指導担当講座」という表現に改めました。

《具体的展開例①》 差をつけない方法

i )年間指導計画作り、予備実験、実験プリント作成、実験・実習の指導、レポートの評価は、講座担当者と複数指導担当者が協力して行なうが、講座担当者が責任を持つ。
ii )備品薬品管理と実験・実習の準備・後片付けは、講座担当者と複数指導担当者が協力して行なう。

物理IB 4単位4講座
化学IB 4単位4講座
生物IB 4単位4講座
地学IB 4単位4講座
総合理科 2単位2講座

合計68時間の場合理科教諭の定数(持ち時間数の最大を18時間として計算)
68×1.5/18=5.7=6名
◇以下、具体的展開例②、③でも、科目、単位数、定数は同様とします。

教諭 担当講座 小計 複数指導担当講座 小計 合計 備考
物A,B,C 12 化A,B 総A 17
化A,B 総A 10 物D 化C,D 16
物D 化C,D 12 物A,B,C 18
生A,B,C 12 地A,B 総B 17
地A,B 総B 10 生D 地C,D 16
生D 地C,D 12 生A,B,C 18
  68   34 102
《具体的展開例②》 実験室担当者を決める方法

i )年度当初までに教科会議で、実験室担当者を実験室あたり1名の割合で決め、担当講座数を少なめにし、複数指導担当講座数を多めにする。
ii )年間指導計画作り、予備実験、実験プリント作成、実験・実習の指導、レポートの評価は、関係者が協力して行なうが、講座担当者が責任を持つ。
iii )備品薬品管理と実験・実習の準備・後片付けは、実験室担当者が中心になって行なう。

教諭 担当講座 小計 複数指導担当講座 小計 合計 備考
物A,B 化A,B,物C,D総A 17 物理実験室担当
化A,B 物A,B,化C,D 16 化学実験室担当
生A,B 地A,B,生C,D 16 生物実験室担当
地A,B 生A,B,地C,D総B 17 地学実験室担当
物C,D化C,D総A 18   18  
生C,D地C,D総B 18   18  
68   34   102  
《具体的展開例③》 実験・実習担当者を決める方法

i )年度当初までに、教科会議で実験・実習担当者を決める。
ii )年間指導計画作り、予備実験、実験プリント作成、実験・実習の指導、レポートの評価は、講座担当者と実験・実習担当者が協力して行なうが、講座担当者が責任を持つ。
iii )備品薬品管理と実験・実習の準備・後片付けは、実験・実習担当者が中心になって行なう。?)実験・実習担当者は実験・実習の指導だけを担当する。

教諭 担当講座 小計 複数指導担当講座 小計 合計 備考
物A,B,C,D 総A 18     18  
化A,B,C,D 総B 18     18  
生A,B,C,D 16     16  
地A,B,C,D 16     16  
    物A,B,C,D 化A,B,C,D 総A 17 17 実験実習担当
    生A,B,C,D 地A,B,C,D 総B 17 17 実験実習担当
  68   34 102  

《具体的展開例についての補足》

①各教科の単位数、講座数を均等にしたのは、ゆがんだ現実を肯定したくないという思いがあり、そうすることで表の意味することを読みとる妨げにもならないと判断したからです。
②持ち時間数の上限を18時間にしたのは、それを肯定しているわけではありませんが、「理科だけ持ち時間数を減らすのか」等の誤解をさけ、表の意味するところを読みとりやすくするためです。
③新教育課程で科目や単位数が変わりますが、置き換えて考えてください。

[3]教諭一元化を実施する際の経過措置について

(1)現職者に対する経過措置の基本的な考え方

一定の経過措置の期間中は現行の「実習助手」制度が存続しますから、現職者は現在の仕事を継続することができます。しかし、期間終了後には「実習助手」制度は廃止され、理科教育に携わる者は「教諭」のみとなります。すなわち、現在「実習助手」として働いている人は経過措置の期間が終了する時には、全員「実習助手」以外の立場になっていなければなりません。教諭一元化へ移行する過程では、この現職者に対する経過措置も大切な課題です。
制度改革は、理科教育の課題を解決すると同時に「実習助手」制度の課題も解決しようとするものです。当然のことながら、これまで理
科教育を支えてきた現職者に対する経過措置は、個々の条件や希望が最大限尊重されたものでなければなりません。
基本的には、中間答申でも述べたように、教諭に一元化する過程の中で現職者も理科教諭として、引き続き理科教育にかかわっていくことを展望しています。しかし、現実に現職者個々の条件や希望を尊重するためには、単に理科教諭に任用するというだけでなく、もっと広い選択の余地が必要と考えます。

(2)現職者個々の条件や希望を尊重するための課題

現職者がどの道を選択したとしても、それまでとは違う仕事をする事になるわけですから、本人の精神的、肉体的な負担が最小限にとどめられるような条件整備をし、全ての現職者の希望がかない、安心して働き続けられる労働の場が保障されることが大切です。

①理科教諭への道を選択する場合に保障すべきこと

ア.誰もが無理なく理科教諭免許を取得できる条件を保障する。
理科教諭に任用されるためには、免許を持っていない現職者は、まず所定の過程を経て理科教諭免許を取得しなければなりません。したがって、制度改革後は、誰もが無理なく単位を修得できるよう、必要な検定試験、認定講習・研修会などを開くとともに、外部の認定講習会などに出席できるようにするなど、それらへの参加を保障するための勤務条件の整備を教育委員会が行うことになります。
イ.本人の希望と納得に応じた労働条件を保障する。
理科免許を取得したとしても、長年実験・実習のみを担当してきた人にとって、講義を担当することへの不安はあって当然です。しかし、現在の「実習助手」の採用条件(短大卒以上・教諭免許保持者)からみると、制度改革が実現し、さらに経過措置の期間が終了する頃には、大多数の現職者が十分に講義を担当できる力量を身につけていると考えられます。しかし、具体的展開例③にもあるように、理科教諭として実験・実習のみを担当することも可能です。このような本人の希望を尊重できるように、校内の合意をすすめたり、教育委員会に要望することも必要です。
また、クラス担任を持つことへの不安の声もありますが、分掌配置については現在もさまざまな事情によって配慮が行われている実態からみても、校内人事である程度解決できる問題だと思われます。一方、現在「実習助手」はすでに分掌に所属してさまざまな経験を積んでおり、担任に必要な知識と経験が備えられつつあります。実際に、採用されて間もない教諭が担任をしたり、教員免許法付則11項によって職業学科の「実習助手」から教諭に任用された人がすぐクラス担任を持ったりしています。
ここにあげたこと以外にもさまざまな不安や要望が出されると考えられます。もちろん、今後はそれら一つ一つの声を丁寧に取り上げ、制度改革の主旨が実現するような解決の道を探していかなければなりません。

②理科教諭以外の道を選択する場合に保障すべきこと
具体的には、他教科の教諭や教諭以外の職種への道が考えられます。しかし、職種によっては理科教諭と同様に免許や資格の取得が必要です。教諭免許や資格をもっている人は、それが活用できるようにすること、また新たに免許・資格の取得を希望する場合にはその条件整備を保障することなどを含め、本人の希望が最大限尊重されることが必要です。
③職場の合意と民主的学校運営が大切
教諭一元化は、「実習助手」制度を廃止することが目的です。ですから「実習助手」の教諭への任用替えは、あくまで教諭一元化に付随する一時的な措置です。また、他の教科・職種・校種への任用替えが行われる場合も全く同様です。職場の不理解から現職者の学歴や経歴に対する差別や身分上の不利益があってはなりません。なぜ制度改革が必要なのかという原点に立ち返り、民主的な学校運営が行われることが何よりも大切です。

[4]制度改革に関わる行政への要求項目

(1)国の法や制度にかかわる要求

中間答申で提起しているように、

①「学校教育法」第50条を改正し、「実習助手」を廃止する。
②「公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」を改め、複数指導 体制がとれる人数に改正する。
これらの点では、政府・文部省への働きかけや、国会請願運動を旺盛に展開していくことが必要です。

(2)京都府教育委員会への要求

今すぐに法律改正へ進まなくても、府独自の措置としてできることを要求していく必要があります。

①新たに「実習助手」を採用せず、その人数は教諭として採用すること。
②実験・実習の複数指導体制が取れる教員数(教諭+「実習助手」)を配置すること。
③制度改革を展望して、現職者の希望や意向をよくつかみ、それを尊重すること。任用や免許取得で本人の希望が生かされるように、
・現在、理科の教員免許を持っている人で、希望があれば、理科教諭として任用すること。
・理科以外の教科の免許を持っている人で、希望があれば、該当教科の教諭に任用すること。
・教育職以外の職種を希望する人には、希望する職種へ任用すること。
④教諭免許取得のために
・教諭免許の取得を希望する人のために、教育委員会が、検定試験、認定講習を開催すること。・また、希望者へ公開講座を実施したり、研修の機会を保障すること。
・外部の認定講習会等に参加できるようにすること。
⑤現職者で実験・実習担当者を希望する人が同一校に重ならないよう、人事異動を行うときは配慮すること。

[5]おわりに

理科教育と実験・実習の現状がかかえる課題について考え、理科教育を21世紀にさらに発展させようとするとき、それが「実習助手」制度と深くかかわっていることから、本検討委員会では、2年前に1年余りの検討でまとめた中間答申を提出し、広く組合員や理科の関係者に論議を訴えてきました。その経過は冒頭に記した通りです。
制度上の課題、教育政策上の課題、教育への姿勢の問題、教育運動に関わる問題が複雑に絡み合った問題であって、ともすれば議論があちこちいってまとまらない時期もありましたが、各学校からのご協力と、36回にわたる検討委員会での議論の積み重ねで、ようやく最終答申にこぎつけることができました。この答申をきっかけに、理科教育と実験・実習のあり方をめぐる論議が活発に行われ、教育実践やその交流が一段と広がるよう期待しています。
もとより制度上の課題は京都のみで解決できるものではなく、制度改革には全国的な運動が必要です。日高教でも同様の取り組みが行われており、私たちもこの答申で全国的論議に加わりたいと思います。また、「最終」と銘打っていますが、他の実習を伴う教科をはじめ、まだまだ多くの教職員の視点で議論を尽くさねばならないものと考えています。
最後に、本検討委員会として、理科教育の発展と「実習助手」制度改革を求める本答申の主旨が、教職員組合が運動の核となって実現されていくことを、強く願っています。

[検討委員名簿]

伊藤哲英(桃山定)、岩間正樹(洛北、1999年4月から西乙訓)、小田公生(久御山、1999年4月から八幡)、後藤次郎(南丹)、平田のぞみ(城南)、福島淳一(東稜:委員長)、松本紀美子(久御山)、山田信人(木津)
《オブザーバー》小野英喜(朱雀)、《事務局》竹脇隆(朱雀)

◇ご意見をお寄せください。

京都府立高等学校教職員組合
〒606-8397 京都市左京区丸太町新道上ル 教育会館内
TEL 075-751-1645
FAX 075-752-2988

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