府立高校改革推進計画 II(案)に対する私たちの見解

必要のない府立高校は一つもありません。「再編整備」の名による高校つぶしに反対し、地元の高校を守る府民的な運動を広げましょう。

2004年4月13日
京都府立高等学校教職員組合常任執行委員会

1.京都で本格的に高校統廃合=高校つぶし推進を宣言する計画

京都府教育委員会は、3月23日の府議会文教常任委員会および3月26日の教育委員会で、「府立高校改革推進計画( II )案」(以下「計画( II )」)を報告しました。その要点は、以下の通りです。
①全日制の「適正な規模」を「1学年8学級程度(単位制は6学級程度)が望ましい」とし、「特色ある高校の適性配置と適正な学校規模を確保」するために、課程・学科の改編などの「転換」や、「既存の複数の高校の発展的統合」を推進する。
②「定時制・通信制の再編整備」として、全日制と併置の夜間定時制を「新しいタイプの単位制高校(フレックス・ハイスクール)」にその機能を移すなどの再編を行い、通信制についても「フレックス・ハイスクールのシステムとの連携を検討」するとしている。
③府北部に7校設置されている分校について、「本校に統合したり、分校同士を発展的に統合するなどの再編整備」を推進する。
これらはすでに2002年1月の「府立学校の在り方懇話会」のまとめに盛り込まれていた内容ですが、検討機関の答申の段階から、「推進計画」という教育委員会の施策として方針化・具体化されようとしているものです。全国的にすすめられている「高校再編」の名による高校統廃合=高校つぶしを、この京都で本格的に推進する計画に他なりません。

2.40人学級を不変の前提とした、「はじめに高校つぶしありき」の適正規模

「計画( II )」の特徴の一つは、40人学級をそのままにして、「1学年8学級」という「適正規模」を強調し、それに沿った「再編整備」を行うという、まさしく最初から「高校つぶし」を大前提とした計画だという点です。
しかし、この「適正規模」なるものは、以下のような誤った前提にもとづいて展開される、まやかしの論です。
第1は、世界の非常識といわれる「1学級40人」を不変の基準としていることです。高校生が確かな学力を身につけ、一人ひとりの個性を伸ばす上で、高校でも少人数学級の重要性が叫ばれる中で、それに逆行するものといわざるを得ません。
第2は、「ピーク時の55%」と生徒数と平均学級数が大きく減少しているかの印象を強調していることです。たしかに以前と比べて生徒数は減少していますが、京都の公立高校はもともとマンモス校が多く、ようやく落ち着いてきたといえるのが実情です。存続自体が不可能は小規模な高校はありません。
第3は、望ましいとしている「1学年8学級程度」=1000人近い学校規模が「適正」だという客観的な根拠は何もないことです。8学級を下回る高校でも、創意的な教育活動や部活動が活発に展開されています。全国でも全日制高校の75%は900人以下、800人以下の高校は64%にのぼります。府教育委員会の基準でいくと、全国の高校の4分の3は「望ましくない規模」ということになります。
私たちは、府教育委員会のいう「40人学級・1学年8学級(3学年で960人)」の学校規模は大きすぎると考えています。高校でも学級の生徒数を少なくして、大規模校でなくアットホームな雰囲気で、きめ細かな指導が必要だと考えています。そうした観点から、私たちは全日制の学校規模の標準は、学級定員を 30人としたうえで、「1学年8学級以内(3学年で720人以下)」にすべきだと提案しています。
40人学級でも、8クラス規模から学級数が減った学校からは、「6学級規模になって学校が落ち着いてきた」「学年全体に目が行き届くようになった」という声も寄せられており、学校現場の感覚にも近いものです。こうした教育条件の改善をすすめるためには、少なくとも現在の学校数を維持することが必要です。今回の計画は、高校での30人学級の実現を不可能にし、小規模校であることを理由に教育条件を切り捨てることを合理化する「教育リストラ論」に他なりません。

3.ウソとごまかしで定時制つぶしをさらに推進する計画

計画の二つ目にあげている「定時制・通信制の再編整備」は、いっそうひどいウソとごまかしで定時制つぶしを合理化するものです。
第1は、京都府の定時制・通信制が抱えているさまざまな問題が、何よりも1997年の山城・洛北・堀川の定時制つぶし以来、いっそう深刻化していることを完全にごまかしていることです。3定時制つぶし以降、京都市内の定時制志願者は急増し、毎年多くの子どもたちが定時制教育の場から除外されています。また朱雀高校通信制の生徒急増は、もはや一刻も猶予ならない状態にあります。府教委は、全日制を志願しながら「不本意入学」する生徒が多いことを理由に定時制つぶしを強行しましたが、その後の事態は、定時制つぶしが定時制・通信制の困難を増大してきたことを明確に証明しています。そのウソとごまかしを、今回さらに上塗りする愚策としか言いようのないものです。
第2に、再編整備の理由にあげている「全日制との併置のため、…学校運営上の制約」が、机上の論であることです。本来、全日制と定時制は活動時間が違い、お互いの活動を制約することは大きくはありません。全日制が夜遅くまで授業などをやっていることはありませんから、異なる課程が一つの校舎に共存することは十分可能です。通学の便などを考えて定時制をきめ細かく配置しようと思えば、全日制と定時制の併置は当然起こりうることです。府教委の論は、要は「はじめに定時制つぶしありき」のつじつま合わせでしかありません。
第3には、定時制・通信制の再編整備をすべて「新しいタイプの単位制高校(フレックス・ハイスクール)」にすべてつなげようという短絡さです。こうした高校をつくれば、不登校を経験したりさまざまな課題を抱えた生徒達の問題がすべて解決するというのでしょうか。こうした高校をつくれば、当然1ヵ所に集中させることになりますが、通学の問題はどうするのでしょうか。大規模な学校をつくって、定時制・通信制が持つ課題が解決するというのでしょうか。
私たちは、今必要なことは、大規模な定時制単独校をつくって定時制つぶしをすすめるのではなく、小規模でも通いやすい学校をきめ細かく配置し、自分のペースでゆっくり学べるよう、とりわけ定時制・通信制の教育条件を整えることです。現在の京都府教育委員会には、定時制・通信制教育を振興する基本的な姿勢が見られないのが大きな問題です。

4.分校つぶしを前提にした、まったくその場しのぎの再編計画

第3の柱である「分校の再編整備」でも、その場しのぎの机上の論の感が強いものとなっています。
最大の問題点は、「定時制のシステムを求めて入学してくる生徒が多くを占め」ており、「魅力を感じて入学してくる生徒の存在」も認めて「一定の規模で継続」としながら、なぜいきなり本校への統合や分校同士の統合が出てくるのかという点です。「地元出身の生徒の構成比率が低い」などと、あたかも地域的には存在意義がないかのように描きながら、分校統廃合を正当化する論に他なりません。たしかに小規模な分校が多くなっていますが、それぞれの分校が持っている役割や、小規模な学校で学びたいというニーズを持った生徒達のことを考えると、軽々しく結論の出せる問題ではありません。「つぶしやすいところからリストラしていく」という府教委の基本的なスタンスが見えてきます。
本校に統合して通えなくなる生徒があればどうするのでしょうか。遠く離れた分校同士を統合して、生徒は通えるのでしょうか。具体的な中身もまったくなく、学校現場の議論抜きで考えた再編計画でしかないと言わざるを得ません。

5.子どもたちが通う地元の高校を存続・発展させる府民的な運動をよびかけます

なくなってもいいような府立高校は一つもありません。むしろ、高校でも30人学級を実現し、選択科目や少人数での学習を保障するためには、現在の高校数を維持することが最低条件です。高校を減らしてしまえば、子どもたちが通いやすい地元の学校で豊かな高校生活を送ることが困難になるのは明らかです。また、定時制・通信制や分校で学ぶ生徒達を切り捨てることは絶対に許されません。私たちは、今回の「計画( II )」には反対を表明し、撤回を求めます。
府教育委員会は、6~7月にはこの計画を確定し、そののち早ければ来年度からの統廃合の実施計画を具体化させる恐れもあります。事態は予断を許しません。8学級を下回る規模の高校はすべて「再編・統合」の対象になっていると考える必要があります。定時制・通信制を一気に「再編・統合」することもあり得ます。大がかりな分校つぶしが打ち出される可能性もあります。
私たちは、「希望するすべての子どもたちに高校教育の保障を」と願う広範な人々に、府立高校を守り発展させる運動をよびかけます。府立高教組はその先頭に立つことをあらためて表明するものです。

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