京都府当局の地方財政危機を口実とした40歳以上の教職員に対する早期希望退職特例措置案について(府高の見解とたたかいの基本方針案)
1999年9月20日 京都府立高等学校教職員組合執行委員会
 府教委は、9月9日、府税収入が当初見込み(2720億円)を下回る見通しであるので、財政健全化にかかる緊急臨時的措置として「管理職手当の削減」及び「40歳以上の早期希望退職措置」を9月議会にはかりたい。9月10日には知事の定例記者会見で発表すると、京教組・府高に対して一方的に提示してきた。

1 当局の提案
(1)管理職等に対する人件費削減措置(案)
1. 管理職は管理職手当を10%削減
2. 学長・教育長は給料+調整手当を5%削減
3. 行政委員会委員(教育委員等)は報酬(月額)を5%削減
4. 期間は平成11年11月1日から平成13年3月31日とする
(2)早期希望退職特例措置(案)
現行の早期退職特例(いわゆる特退制度とは別に)は
「50才以上で勤続25年以上の教職員が早期退職する場合、50〜59歳は1歳につき2%割り増し。定年退職は割り増しなし」となっているが、新たな特例措置として
1. 対象を「40歳以上、勤続10年以上(50才以上は勤続年数用件はない)」とし、40〜52歳は1歳につき3%割り増し(最高30%)、53〜59歳は2%割り増し(現行どおり)」とする。定年退職は割り増しなし。
2. 退職希望者の募集(H11、H12の2年間、募集は1回、時期は未定)
(3)この乱暴な提起に対して京教組・府高は、このような地方財政危機を口実とした教職員の身分・進退にかかわる措置を、いきなり「議会に提案します」では承服しがたい。これは当局が勝手に決められることではなく、議会提案(9月24日開会)までに必ず交渉を設定することを厳重に申し入れた。当局は、持ち帰って検討することを約束した。
(その結果、9月22日に緊急交渉が設定されることになった)

2 「財政健全化」の緊急措置というが
(1)府当局は99年1月5日に、「教職員の900人削減」という大規模な教育破壊・教職員犠牲の大リストラ計画(第2次行革大綱)を発表した。続いて5月31日には、「京都府財政の現状と今後の見通し」を発表した。それによると、平成12年度から15年度までの4年間の累計収入不足額は約2100億円に達する。そのため、知事ら三役の給与・ボーナスをカットし、「第2次大綱」に基づく定数削減などを着実に推進するとしたが、今回の提示はその具体化である。
(2)「府財政の現状と今後の見通し」にも明らかなように、平成15年度には府債残高は、1兆900億円にも達し、今後長期にわたって府財政を圧迫する「癌」となっている。これは明らかに「四府総」など、自民党政治追従・ゼネコン型開発政策中心の財政運営の「つけ」である。一連の緊急財政措置は、財政危機の真の原因を解明もせず、財政運営の失敗を反省することなく、また巨大開発政策を改めることもなく、ただひたすら、国・自治省などのリストラ政策の勧めに無批判に従い、一方的に教職員へ犠牲を押しつけ、府民や子どもたちに対する教育条件の削減・悪化を押しつけるものである。
(3)管理職にとっても一方的な今回の措置は、知事以下三役の給与・一時金の削減に続くものであるが、府の財政に与える効果については「極めて頼りないもの」(朝日)とマスコミなども疑問視している。一連の措置は、今後、一層教職員・府民犠牲の措置を行う布石であると見なければならず、当面、年末確定交渉で教職員へこれまで以上の賃金抑制・削減などを押しつけないよう府民的要求運動を発展させる必要がある。

3 早期希望退職特例措置(案)のねらいは教育リストラ攻
(1)教職員を標的とした大リストラ計画
 当局は早期希望退職数の「目標はかかげない」し、「希望しないといえばそれまで」と言うが、この措置が財政再建措置の一環として打ち出されたことから、教職員への退職勧奨を強化することを抜きにして、特例設置の目標は達成できないことは明らか。特に、知事部局職員、警察職員、教職員の年齢別構成グラフ資料によっても明らかなように、教職員の年齢構成が他に比べて40〜50歳代前半の構成人数は教職員が突出しており、この特例措置は教職員を標的とした大リストラ計画であることは一目瞭然である。
(2)二重の意味で学校教育の破壊をすすめる
1. 学校で教育活動の中心を担っている40歳代以上のベテラン教職員を標的にして削減を迫る。教育活動で優れた経験の蓄積が生徒急増期における教育困難を乗り越え、しばしば教育破壊の窮地から救ってきた。この年代の労苦に報いるどころかそれを捨て去ろうとする今回の措置は、学校教育の継続性をもないがしろにするとともに、教職員集団が培ってきた学校の教育力そのものを破壊する。同時にこのことは、父母・府民の教育への期待を拒否することになる。
2. 退職後の教職員の補充は臨時教職員に頼らざるを得ない。新規採用者を大幅に増やさないまま退職者を募ることは、退職者の後を正規の教職員で埋める見通しさえない事を物語っている。ただでさえ国基準にも及ばない教職員配置が問題になっているのに、今回の措置は一層の教育条件の悪化につながり、学校教育をますます困難にし、そのつけを教職員と子どもたちに押しつけることになる。
(3)ずる賢く、卑劣な早期退職特例
 この間、教職員の改善は一貫して中高年の賃金抑制を強め、長年の教育活動の労苦を足蹴にするかのような超低額勧告が続き、さらに昨年は昇給停止制度の導入を図り、中高年の労働意欲を意識的に喪失させてきた。また、長時間過密労働を放置し、心身を壊す教職員がとりわけベテラン教職員に増えている。さらに、府教委の管理統制の強化や差別的な人事などによって、今学校では「定年までいきいきと働ける職場」は最も切実な要求となっている。そのような状態を改善することこそが教育行政の最大の任務であるにもかかわらず、「いやなら早くやめよ」と言わんばかりの今回の特例は、ずる賢く卑劣である。
(4)自らの無能力をさらけ出した府教委
 そもそも、京都府当局の招いた財政運営の失敗をどうして一般教職員が背負わなければならないのか、京都府教育委員会はいかなる理由で人事当局の計画を受け入れたのか、そのことが厳しく問われなければならない。このような提案を受け入れるのに、人事当局に対して「退職者の再雇用や就職斡旋、退職に伴う穴埋めには必ず正採用教職員で」などの保障さえとりつけられない教育委員会をどれほどの教職員が信頼を寄せるのか知りたいものである。

3 このような財政再建策は絶対に容認できない(私たちの要求)
(1)教職員や府民犠牲の大リストラは認められない
 府財政危機の原因と責任を明らかにし、教職員や府民を犠牲にしない再建を行え。また、国や文部省などに対して予算措置の伴う30人学級の即時実現など、圧倒的国民の願う抜本的教育条件の改善を要求せよ。
(2)京都市内への高速道路の乗り入れ、木津川右岸開発、迎賓館建築などの大型公共事業優先の開発事業を直ちにやめ、老朽校舎改築、特別養護学校老人ホーム建設など教育・福祉に府民の税金を使い、府内の中小業者への発注率を大幅に引き上げよ。
(3)一時金の削減を行うな。昇給停止制度撤廃、勤勉手当の成績率支給撤回、長年の労苦にこたえる中高年教職員賃金の引き上げを実施せよ。
(4)定数調査、時間外勤務実態調査などを誠実に実施し、定年までいきいきと働ける労働条件を確立せよ。
(5)長時間過密労働で倒れ、ようやく病癒えても、いきなり100%の現場復帰では、「いやならやめなさい」と言っているに等しい。府教委は、全ての教職員が大切な府民の財産であることを深く自覚し、教職員がいかに意欲的に元気に働けるかについて腐心せよ。当面、病気休職から復帰する教職員に対するリハビリ勤務制度を実現せよ。
(6)教職員に対する退職強要、退職につながる嫌がらせや「肩たたき」を絶対に行なうな。

4 圧倒的な教職員の声で、こんなまやかしの財政再建策をやめさせ、府民が主人公の財政再建を
(1)急速に職場討議を深め、京都府当局、府教委、府議会に対する「こんな教職員への犠牲押しつけは認めない」「教職員が健康で安心して働けるよう努力せよ」の教職員・府民の声で包囲しよう。
 集会、交渉、要請行動など全ての教職員の怒りを総結集しよう。
当面
  ・ 9月22日(火) 14:00〜 府庁3号館3F会議室
(2)「こんな不況の時に退職させられてたまるか」の世論を高め、府教委への抗議行動を
(なお、今回の府の措置には大阪などのように、再雇用制度がない。使用者がやめて下さいというからには、次の仕事の斡旋や再雇用の制度など持って来るのが当たり前)
(3)全ての教職員・保護者とともに、「やめた教職員の後任には必ず正採用の教職員を配置せよ」の圧倒的な声を組織し、府教委を包囲しよう。
(4)「本人の意に反する不当な退職干渉(肩たたき)は一切しない」で全ての分会で校長交渉を行おう。
(5)嫌みなことを言われたり、一人で悩んでいる教職員が一人も出ないよう直ちに分会の主張を全教職員に明らかにしよう。

5 全教職員への「対話と共同」の推進、早期の人事闘争体制確立
(1)一刻も早く「40歳早期希望退職特例」の本質・ねらいを職場に広げるために、職場集会、学習会、未組合員との「対話」を直ちに行おう。
(2)年末確定交渉に向け、府教委に対する要求署名運動の圧倒的に成功させよう。
(3)分会の人事闘争委員会を10月中に立ち上げ、学校長の「不当な肩たたき」で一人で悩んだり、泣き寝入りする教職員を一人も出さないよう、全教職員に対する聞き取り調査を行うなど、オープンな人事闘争を展開しよう。
★ 全組合員討議資料を10月中旬までに発行します。
(4)退職希望者に対する激励、親身な相談活動をすすめよう。
(5)かつて組合員であった40歳以上の仲間に対し、「ぜひもう一度府高に帰ってきてご一緒に闘いませんか」と率直に呼びかけよう。
(6)臨時教職員の希望をよく聞き、「採用を希望する全ての臨時教職員を採用せよ」の運動を強めよう。