| 京都府教育委員会は、この間京都地裁で出された「小谷・西垣・内藤・重田」裁判の判決を真剣に受けとめ「教職員のいのちと健康を守る」教育行政を本気ですすめなければならない! |
| ─────「平成12年4月24日通達」の問題点───── |
| 2000年4月25日 |
| 京都府立高等学校教職員組合常任執行委員会 |
| 京都府教育委員会は、平成12年4月24日付けで、「時間外勤務の縮減等による総実勤務時間の短縮について」なる教育長名の通達を各府立学校長宛に出した。 こうした姿勢は、この間の府職連・京教組・府高交渉における「健康破壊と超過勤務実態を何とかすべきだ」という現場の切実な要求や、私たちの追及に京都府人事委員会が「総実勤務時間の短縮について実効が上がるよう」「職場の衛生管理をさらに充実させ」と勧告した内容を反映したものとして歓迎するものである。 しかし、通達の中味は残念なことに、当局回答とは明らかに矛盾する旧態依然とした態度が見え、当局の責任を回避するものとなっている。 その最たるものが定数増をはじめさまざまな教職員の労働条件の改善により教職員の長時間過密労働を解決するのではなく「公務が効率的に遂行されるよう意識啓発を行うよう・・・繰り返し指導してきた」などと述べ、教職員の長時間過密労働の解消があたかも意識の問題で解決できるかのようにすり替える通達を出している点である。 その上、教職員を必要以上に忙しくしている研修や各種の調査など、当局自身の労働量増加の押しつけには全く頬被りして「事務執行方法の改善や事務総量の縮減」を求めている。しかも、職員会議をはじめ、会議の非民主的な運営のおしつけは反省することなく、あたかも組織の見直しでことの解決ができるかのような立場に立っている。 こうした基本的な問題を抱えた通達だけに、通達には多忙(長時間過密労働)を解消するための七点の配慮事項が示されているが、「いのちや健康を守り、真に多忙を解消する」ために必要な行政施策と見解を示すことができず、配慮事項にもいくつかの矛盾や看過することのできない内容をはらんでいる。そのうちのいくつかについて以下に指摘することにする。 (1)教職員の勤務時間について「週40時間勤務になるよう努めること」と述べているが、これは明らかに労基法違反を自ら認めているものである。いうまでもなく、労基法は労働条件の最低基準であり、その労基法は第32条で「40時間を超えて、労働させてはならない」と明記している。しかもこれに違反したときは「六か月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」との罰則規定もある犯罪行為である。 (2)「効率的な議事進行等、合理的な運営に努めること」といいながら、大切なことを一切明らかにせず、教職員の声を聞かないばかりか一方的に「おしつけ」「伝達する」管理職の非民主的・非合理的な職員会議の運営などについては放置し、当局としての責任を放棄している。 (3)「勤務時間外に補習授業等の業務が行われる場合には・・・」などと述べているが、同じこの通達文書で自ら「時間外勤務は限定4項目に限る」と述べていることさえ忘れている。これではこの通達を真剣に考えているのかと疑問が出されても仕方がない。 (4)年休取得については「授業等の学校教育活動への影響にも留意しつつ」などと述べているが、年休は本来労働者が「自由に取れる」ことが労基法の原則である。そのことを明確にしないで先の表現のみを強調すること自体、年休取得の制限を表明するものに等しい。ましてや補習授業は、限定4項目のどこにもない。 さらに付言すれば、通常の授業が生徒たちにとって楽しく分かる授業であるためには持ち時間を軽減し、教職員の研修時間などを保障することがきわめて大切である。こうした教職員の切実な声には背を向けながら父母や生徒の要求などと詭弁を弄し教職員に早朝の勤務時間外のサ−ビス残業などを押しつけるなどもってのほかである。長時間過密労働に追われ、教材研究もままならない状態での正規の授業や補習は、生徒にとっても教職員にとってもマイナスこそあれ、ただの一つもプラスはない。 (5)「管理職員は所属職員の適正な勤務時間の管理の徹底を図り」などと最後に述べているが、このこと自体教育委員会の責任と自覚の欠如である。このような通達を出す態度が労働安全衛生法や労働基準法の何たるかも知らない管理職にとって「終業前に時間年休を取得する場合の時間は5時15分までと書いてほしい」などと、勤務時間外の記述を要求する不法・不当な事態を招いている。 以上見てきたように、府教委は、この通達の基本的な不十分さ、誤りを正し、教職員の声や要求を十分に聞き、教職員が安心し、生きがいを持って職務に専念できるような労働条件改善に努力すべきである。 労働者が過労死する職場の実態が国会や全国の裁判闘争でも明らかにされているが、私たちが勝利した「小谷・西垣・内藤・重田」裁判でも公務災害が起こる職場の労働実態と労働条件が厳しく断罪された。 府教委は、事業場責任者として四つの判決から深く学び、行政執行に生かすことが当局の責務として今こそ求められている。 |