教職員の政治的な権利をおさえこもうとする
不当な「通達」をはねかえし

府民が主人公の府政を実現しよう!
  

2002年1月26日 

京都府立高等学校教職員組合執行委員会   

 1月21日、京都府教育委員会は教育長名で「公の選挙における教職員の服務規律の確保について」という通達(以下「通達」)を各府立学校長宛に出しました。

憲法にも反する「通達」

 日本国憲法第21条は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定め、いかなる留保もなしに言論・表現の自由を国民に保障しています。この言論・表現の自由の中には、当然国民の政治活動・選挙活動の自由も含まれます。つまり憲法の条文から見るならば、何の留保もなしに教職員にも政治活動・選挙活動の自由が保障されているのです。


政治的に要求を実現していく運動を妨害する「通達」

 しかし「通達」は、憲法にはいっさい言及することなく、現行法のいくつかの「制約的事項」をことさらに強調し、あえて教職員の誤解を生みやすい表現にすることによって教職員の正当な活動をおさえこもうとするものになっています。その結果「教職員は選挙で投票してもいいのか」という声さえ出てきているところもあります。教職員が、自らの要求を実現するために、憲法にも保障されている権利や自由を行使することを妨げようとする府教委の姿勢は厳しく批判されなければなりません。一見「公正」をよそおった「通達」は、教職員・府民のくらし・福祉と権利を守り、子どもと教育の危機的状況を打開し、憲法・教育基本法を守り、父母・住民の期待にこたえる学校づくり、教職員の生活と権利の向上をめざす府政への転換をはかることを妨害する政治的な思惑から発せられたものです。まさに行政としてやってはいけない特定の政党・政治勢力を利する「通達」といわなければなりません。


地位利用のみが禁止のはず

 公選法上公務員が特別に受ける制限は「公務員の地位を利用して」選挙運動をすること、学校(公立、私立を問わない)の教職員の場合には「学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して」選挙運動をすることのみです。
 教育公務員の場合の「教育上の地位を利用して」とは、例えば児童、生徒の担任教師であって、子どもの教育上格別の便宜を与える立場にあることを利用して、選挙運動をするような場合をいうのであって「父兄に対する選挙運動はすべてこれに該当するというものではない」(自治省見解)のです。
 一昨年6月の全教の文部省(当時)交渉において「教職員の選挙活動の禁止等について」の通知とかかわって、教育助成局地方課谷川調査係長は、「教職員の選挙活動をすべて禁止する趣旨ではない、教職員にも市民的自由はあり、選挙活動でできることはあるが、書ききれない」とこたえています。(「新聞全教速報版」No.156参照)


時代遅れの「通達」をいつまでおしつけるのか?

 「通達」は、教育公務員特例法21条3項を根拠に国家公務員法や人事院規則を持ち出し、あたかも教職員は何もできないかのように思わせようとしています。しかし、この教育公務員特例法は、吉田内閣が元戦犯を文部大臣に、戦前特高警察などを動かした旧内務官僚を文部次官にすえ「偏向教育」攻撃によって教職員組合運動を弾圧してきた時期につくられたものです。この教育公務員特例法は、衆議院では教職員・国民の反対をおしきって強行採決されましたが、教職員や国民からの猛烈な反対運動の高まりのなかで、参議院では修正を余儀なくされました。教育公務員特例法21条3項では「国立学校の教育公務員の例による」とし、教育公務員に国家公務員法・人事院規則を適用をしましたが、違反した場合の罰則については適用することができませんでした。また条文にも「当分の間」教職員にも「国立学校の教育公務員の例による」となっています。今から46年前に国民の反対の声をおしきって制定された法律の「当分の間」が、いつまで続くのでしょう。まさに時代の流れにそぐわない条文であり「通達」であることは明らかでしょう。


国際的にも不当な「通達」

 国際的に見ても、この「通達」は不当なものです。国際人権規約のB規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)は、市民的および政治的自由が例外なく当然保障されるべきことを定めており、ILO151 号条約においても、公務員も他の労働者と同様に「結社の自由の正常な行使に不可欠な市民権及び政治的権利を有する」(第9条)と定めています。さらにILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」でも、教員は当然一般に享受するいっさいの市民的権利を自由に行使すべきである(80項)としており、教職員・公務員に政治活動・選挙活動の自由を国民・労働者と同様に保障することが、国際的な水準です。


教職員の当然の権利までおさえつける姿勢は許せない!

 この種の不当な「通達」には、いつも関係法令一覧・人事院規則・文部省通知や各種資料を詳細につけておろし、教職員の政治活動・選挙活動を妨害しておきながら、昨年4月13日に出された「時間外勤務の縮減等による総実勤務時間の短縮について」の通達については給特法の「確認書」「覚え書き」はもちろんのこと、関係する「職員の給与等に関する条例」さえ資料としてはつけていません。勤務時間の短縮などの教職員の切実な願いには十分にこたえようとせず、教職員にも保障される政治的権利に対しては脅しによっておさえこむとする京都府教育委員会の姿勢を端的にしめしています。
 このような教職員の当然の権利をおさえつけ、教職員・府民・子どもに今の府の悪政に服従することをねらった不当な「通達」を断じて認めるわけにはいきません。
 府立高教組は、一人ひとりの教職員の政治活動の自由を擁護して、自民党府政から府民が主人公の府政に転換をはかり、憲法・教育基本法を生かした学校づくりをすすめ、教職員・府民の要求実現のために全力をあげるものです。